MK158 創世記、出エジプト記

創世記

　　　創世記が書き記された頃の読者たちにとって、この書は彼らの出自や民族の歴史を知る書として尊ばれていました。この書は彼らに、神が彼らの父祖アブラハムと個人的な関係を自ら開始されるまで、神がどのようにして世界をお造りになったのか、またどのようにして全人類と関係を持たれ、彼らを扱われたのか、その一部始終を明らかにしました。創世記は彼らに、その子孫たちにも及ぶ永遠の約束、神がアブラハム、イサクとヤコブに結ばれた永遠の約束を明らかにしました。創世記は、ヘブル人たちが彼らの「約束の地」に戻るのを待つ間にも、踏みにじられ、虐げられたヘブル人たちに慰めと希望を与えました。

　　　のちの読者たちにとって、創世記は聖書の他の書に対して、綿密で詳細な背景説明を提供します。創世記で私たちは古代の歴史や地理を学び、また聖書においてのちに記述される、重要な人物や出来事等を紹介されます。神はまた、人々との関係を通して、ご自身のご性質の多面性も明らかにされます。私たちは「罪」の起源、人類に対する罪の破壊的な影響力や、イスラエルの民の未来の子孫を通してその罪を贖う、神のご計画も知ります。

出エジプト記

　　　出エジプト記において私たちは、神がアブラハム、イサクとヤコブに対するご自身の約束を果たし始められるのを目撃します。イスラエルの子たちが外国の地で奴隷の身に陥っていたにもかかわらず、神は彼らを自由の身へと、奇跡的にまた劇的に解放されました。神はそうしてのちにイスラエルを、シナイ山でのモーセとの契約のもと、神政政治による国家として確立されました。十の災害、過越、紅海が二つに分かれた奇跡、シナイ山での畏怖の念を起こさせる神の臨在の荘厳さ、十戒が授けられたこと、幕屋の建築等、出エジプト記でのこれらの出来事はユダヤ人の信仰の根幹を成します。そしてそれらは、聖書全体を貫く贖いのメッセージを未来における聖書の読者たちが理解するのを助ける、極めて重要な背景および状況説明を提供してくれます。様々な聖書の著述者による、出エジプト記への言及の頻度や、またイエスご自身のおことばさえも、出エジプト記の重要性を物語っています。